滞空時間フリーペーパーVOL1と岡部徳枝さんのコラム その1

アルバム発売に合わせて製作された大好評のフリーペーパーVOL,1です。

デザインも手がける川村亘平斎が昔から作りたかった(!)という新聞。

ニューアルバムや滞空時間メンバー、ガムラン・影絵の紹介や、たくさんのアーティストから頂いたコメント、書き下ろしの4コマも掲載されている豪華内容。

なかでも、滞空時間の記事をCDジャーナルソトコトに書いて頂いている岡部徳枝さんに、今回も素晴らしいコラムを書いて頂きました。

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飲めや歌えや踊れや騒げ 世にも愉快な村祭り その1

岡部徳枝

世にも愉快な祭りサウンドを奏でるバンドが、架空の南の島から「来日」すると聞いて足を運んだ。うだるような暑い夏の夜、東京のとある処へ。

スカートのような長い腰布を引きずり、どこからともなく現れた裸足の音楽家。男たちの頭に巻かれた布は、おでこに蝶々がとまったようなかわいらしい結び目がついている。傍らには、腰ほどまである長く美しい髪の女性がふたり。

わいわいがやがや。ステージに所狭しと並ぶ楽器を縫って、8人の音楽家がその合間に座っていく――まるで大家族がいつもの食卓を囲むかのごとく。わいわいがやがや。そして、祭りは始まった。

青銅打楽器の鐘の音が耳にこだまする。星の欠片を散りばめたようなキラキラした高音。らせんを描くように幾層にもつながっていく倍音。太鼓がドンドコドンドコと弾けて、ベースはその波を低音で泳ぎ、バイオリンは虫の音のようにきしんだ音で鳴く。天女が歌ったような夢心地の美声、地響きのように轟くホーミー。鹿のマスクで野生的に踊る舞踊家、演者自らが影として舞い歌い、笑いも誘うシュールな影絵芝居。

ドコカラキタノ? ドコヘイクノ?

押し寄せる音の渦に身を任せながら、彼らがやって来ただろう架空の国を空想する。

リーダーの川村亘平斎に聞いた。そのルーツは、東南アジアはインドネシア、バリ島。現地に深く濃く根付く“ガムラン”。歌、踊り、楽器、影絵――多彩な要素が円のようにつながる芸術。ガムランは村の誇り。親から子、祖父母から孫、近所の上級生から下級生へと教え継がれ、人と人、村と村とを結んできた、日本のお囃子にも似た土着な音の集い。

川村亘平斎は、解読不能の摩訶不思議な言葉を歌う。バリ人にも通じない。けれど、どこかバリの薫りをまとったコトバ“コウヘイ語”。ヒビキで感じればいい。リズムで踊ればいい。説明などいらない愉快な音楽。秘密の合言葉は“ガムラン”。そんな塩梅でいい。

「なんだか楽しそうだから寄っていこうか」――たまたま遭遇した、見知らぬ村の祭り。よくわからないけど惹かれる、導かれる、居心地のいい空間。さあさ、愉快な音の鳴るほうへ。また今宵もどこかの村で滞空時間の祭りが始まるよ。私もふらりと寄ろうかね。じいちゃんばあちゃん、子供も大人も寄っといでー。

(その2へ続く)

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TAIKUH JIKANG 滞空時間 2NDアルバム 【RAINICHI/来日】 2013/10/23発売決定!!